- これからの時代は非認知能力が大事って聞いたけど?
- 子どもの非認知能力を鍛えるにはどうしたらいいの?
- ネットで調べてみたけど結局分からなかった!
「非認知能力の重要性」に気付きながらも、実際にどうしたらいいか分からなくて困っている親御さんは多いです。
非認知能力について間違った解釈や教育法をしていると、子どもの未来を閉ざしてしまう可能性があります。
僕は発達心理学とアタッチメント理論を学んで1級育児セラピストの資格を取得しました。多くの子どもたちを観察することで人間がどのようにして非認知能力を身に着けていくかを実感してきました。
この記事では、モンテッソーリ教育を通して非認知能力を鍛えるポイントと年齢別のおすすめアクティビティを具体的に解説します。
- 非認知能力とはなにか
- 非認知能力を身に付けるとどうなるか
- 子どもの非認知能力を伸ばす具体的なアクティビティ
非認知能力を伸ばすには、親子の信頼関係を築いたうえで、遊びや日常生活を通して学びを習慣化していくことが大切です。
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お子さんの未来をより明るくする手がかりをつかんでいってください。
非認知能力と“認知能力”の違いと特徴
非認知能力は人間特有の能力
非認知能力とは、物事に対する取り組み方、他の人との関係性など、日常や社会生活において重視される能力のことです。
非認知能力には集中力や根気強さなどが挙げられ、テストで数値化できないことが特徴です。これらの能力は学業や仕事での成功だけでなく、人生全般における幸福と成功に大きく影響しています。
非認知能力の多くはAIに真似することができない人間特有の力です。
“認知能力”はAIが得意な能力
認知能力とは、情報を理解したり活用したりして問題を解決する知的能力のことです。
IQや計算力などテストで数値化できることが特徴です。これらの能力は学業や仕事で役に立ちます。
人間の能力を数値で簡単に測れるため、入学テストや就職試験では認知能力が重視されてきました。しかし終身雇用の崩壊、AIの台頭などによって、認知能力だけでなく非認知能力も重要だと考えられるようになりました。
すでに認知能力の多くの分野において、AIが人間の能力を上回っています。
非認知能力を身に付けて人生を豊かにする
自分自身や周りの人を大切にできる
非認知能力を身につけると自己肯定感が高まり、ストレスにも強くなります。他の人と上手にコミュニケーションを取り、良好な関係を築けるようになります。
自分らしく幸せに生きるために大切な力です。
社会的・経済的成功をつかむ
リーダーシップや集中力、問題解決能力が身につくと、仕事の場でも大きな力になります。チャレンジ精神や行動力、自主性が育つことで、起業を目指す人にも必要な力が養われます。
会社員であっても起業家であっても、非認知能力はこれからの時代に欠かせないスキルです。仕事で高く評価され、社会的地位や経済的成功を手にすることができるでしょう。
【参考】ペリー就学前教育プログラム
1960年代のアメリカで行われた研究によると、幼児期に非認知能力を適切に育てられた子どもは、より良い人生を送ることができていました。
- 高校卒業率が上がる
- 犯罪率が下がる
- 収入が増えるなど
この研究は「ペリー就学前教育プログラム」といいます。幼児期に非認知能力を育てることが生涯の成功と幸福に大きく影響することを実証し、早期教育の重要性を示す代表的な研究です。
AIにマネできない非認知能力の重要性が増してきている
ChatGPTを始めとした生成AIの進化により、人間の役割が変化してきています。今までの社会では、決められた仕事を速く・正確に遂行する能力が重要視されてきました。しかしこれらは生成AIが最も得意とする分野です。
2015年にオックスフォード大学と野村総研は「10〜20年以内に日本の労働人口の49%の仕事が人工知能やロボットなどで代替できるようになる可能性が高い」と発表しています。
(参考:日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に)
では、自分の子どもがAIに仕事を奪われないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか?
非認知能力の多くはAIにはマネできない能力です。
- 0から1を生み出す「創造性」
- 相手の気持ちに寄り添う「共感性」
- 倫理的、道徳的な観点を必要とする「判断力」など
これからのAI時代を強く生き抜いていくには非認知能力が必要不可欠なのです。
非認知能力を身に付けるには?
3ステップで非認知能力を身に付ける
非認知能力を獲得していくうえで大切なのが子どもの心理的安全性です。心理的安全性がある子どもは「失敗しても大丈夫❗️」と安心してチャレンジしていくことができます。
心理的安全性は親と子どものアタッチメント(=愛着形成)により作られます。子どもにしっかり愛情を注ぐことで「自分はこの世界に生きていていいんだ❗️」、「たとえ失敗しても帰る場所がある❗️」という自己肯定感が生まれるのです。
自己肯定感と心理的安全性により土台が作られた子どもは、新しいことにどんどんチャレンジして非認知能力を高めていきます。
非認知能力を伸ばすには親子の信頼関係を築いたうえで、遊びや日常生活を通して学びを習慣化していくことが大切です。
非認知能力は特定の時期だけでなく、一生を通じて学び続けるものです。幼少期に「学ぶこと」を習慣化することで、成長してからも学ぶ意欲を持ち続けるようになります。
たとえば継続力や協調性、計画性といった力は、日々の小さな習慣や経験の積み重ねによって自然に育まれます。学びが日常の一部になることで、子どもは人生を通して非認知能力を高めていくのです。
親の関わり方次第で子どもの学ぶ意欲はどんどん上がっていきます。
- 親子のコミュニケーションを活発にする
- 結果ではなく過程を褒める
- 挑戦や失敗もしっかり認めて受け入れる
- 選択肢を与えて自分で決めさせる
- 遊びの中に学びを取り入れる
- 自然を通した学びを取り入れる
- 日常生活の中に学びを取り入れる
【注意!】子どもの意欲を削いでしまうNG行動
逆に、次のような関わり方をすると子どもの学ぶ意欲はどんどんなくなってしまいます。
- 子どもの気持ちに寄り添わない
- 嫌がることを押し付ける
- 自由にやらせてあげない
- 他の子と比較する
- 先回りしてあれこれやってしまう
- もっと先の発達段階のレベルのことをやらせる
毎日の子どもへの接し方を見直してみましょう。
【参考】「非認知能力が成長しているか」は子どもを観察すれば見えてくる
非認知能力が成長しているかは子ども自身が教えてくれます。
非認知能力の特徴の一つに「テストでは数値化できない」というものがありましたね。数値化できないので、非認知能力が身に付いているかを判断するのは難しいです。
子どもをよーく観察していると、静かに、繰り返し遊んだあとに喜びを爆発させる様子に気付くことができるでしょう。この瞬間こそ、子どもの脳が激しく活性化されて、非認知能力が成長している瞬間です。
非認知能力の具体例
①自分をコントロールする力
- 集中力
▶長時間にわたって一つのことに取り組む力 - 継続力
▶目標に向かって諦めずに努力を続ける力 - 感情コントロール力
▶感情を適切に管理し、冷静に判断して行動する力
②他人と関わる力
- 社交性
▶他者との交流を楽しみ、円滑に人間関係を築く力 - 協調性
▶集団の中で調和を保ちながら、他者と協力する力 - リーダーシップ
▶他者を導き、チームを成功へと導く力
③問題を解決する力
- 論理的思考力
▶複雑な問題を論理的に分析し、効果的な解決策を見つける力 - 計画力
▶目標を達成するための計画を立て、進行状況を管理する力 - 判断力
▶状況を見極め、適切なタイミングで最適な選択をする力
④実行する力
- 主体性
▶自ら進んで考え、行動する力 - 行動力
▶考えを迅速に行動に移し、成果を出す力 - チャレンジ精神
▶新しいことや困難な課題に恐れず挑戦する力
⑤新しい価値を生み出す力
- 想像力
▶未知のアイデアや発想を生み出す力 - 創造力
▶新しいコンセプトや作品を形にする力 - 独創性
▶他者とは異なるユニークな視点やアイデアを持ち、それを活用する力
⑥責任を持つ力
- 自信
▶自分の判断や行動に確信を持ち、物事に取り組む力 - 責任感
▶自分の行動や役割に対する責任をしっかりと果たす力 - 決断力
▶重要な場面で迅速かつ確実に決断を下す力
モンテッソーリ教育で育む非認知能力
モンテッソーリ教育は非認知能力を育てる教育法
モンテッソーリ教育はイタリアの医師であるマリア・モンテッソーリによって開発された教育法です。子どもが本来持っている能力を引き出すことを重要視しています。この教育法は非認知能力の育成に効果的な方法として広く認められています。
モンテッソーリ教育では「敏感期」という概念がとても大切です。敏感期とは、特定のスキルや知識を吸収する力が高まる時期のことです。敏感期に合わせた活動や環境を提供することで、子どもたちは自然に非認知能力を身に付けていきます。
モンテッソーリ教育についてもっと詳しく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
敏感期に沿って非認知能力を育てる
※『藤崎達宏 著:マンガで読む おうちモンテッソーリ教育のはじめ方』より一部改変して作成
敏感期は「言語の敏感期」や「感覚の敏感期」、「秩序の敏感期」などがあります。早いものではママのお腹の中にいるときから始まり、遅いものは6歳頃に消失していきます。
敏感期は一度終わってしまうとその後の人生で二度と現れることはありません。各敏感期の最中に、その敏感期に適した学びを得ることが大切です。
敏感期で培われるものはまさに「非認知能力」そのものです。敏感期に獲得した非認知能力は一生涯にわたって子どもの人生を支えてくれます。
敏感期についてもっと詳しく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。
【参考】モンテッソーリ教育を受けた著名人
モンテッソーリ教育を受けて成功を収めた著名人を紹介します。
政界
- バラク・オバマ(元アメリカ大統領)
- クリントン夫妻(元アメリカ大統領/国務長官)
経済界
- ビル・ゲイツ(Microsoft創業者)
- ジェフ・ベゾス(Amazon創業者)
- ジミー・ウェールズ(Wikipedia創業者)
- マーク・ザッカーバーグ(Facebook創業者)
- ラリー・ページ/セルゲイ・ブリン(Google創業者)
- トーマス・エジソン(発明家)
芸能界
- 松岡茉優(俳優)
- ジョージ・クルーニー(俳優)
文化界
- 藤井聡太(将棋棋士)
- アンネ・フランク(作家)
- テイラー・スイフト(シンガーソングライター)
スポーツ界
- 平野美宇(卓球日本代表)
- ステフィン・カリー(NBA選手)
このように政治、経済、文化、スポーツといった幅広い分野でモンテッソーリ教育の成果が見られます。
【年齢別】非認知能力を育てるおすすめアクティビティ例
モンテッソーリ教育の要素を取り入れた年齢別のおすすめアクティビティを紹介します。
【0歳】効果的な声かけで感受性を育む
赤ちゃんの敏感期は言語の敏感期、感覚の敏感期から始まります。たくさん声かけをして豊かな感性や情緒を育みましょう。
赤ちゃんは五感や全身を使って身の回りのことを感じ取っています。しかし言葉の意味や感覚の正体を知らない赤ちゃんは、自分の身に何が起こっているかまだ理解できていません。この時に親が「涼しいね」「あったかいね」「スッキリしたね」のように赤ちゃんの気持ちを言葉にしてあげましょう。
気持ちを代弁することで赤ちゃんの感覚と言葉が紐付いていきます。
たくさん話しかけることで親子の愛着が形成されるので、これから非認知能力を獲得していくための土台を築くこともできます。
- 口元をよく見せる
- ゆっくり話す
- ワントーン高く話す(パパは特に意識❗️)
- 赤ちゃんの気持を代弁する
これらを意識して声かけすることで、感情コントロール力、社交性、想像力などが育まれます。
【1歳】「いつもと同じ」に付き合って主体性を育む
1歳の子どもは運動の敏感期、秩序の敏感期が強く表れます。この時期は「いつもと同じ」を大切にしてください。
実は「飽きちゃうだろうから、今日は別の散歩コースにしようか」というのは逆効果。子どもは毎日同じコースが気持ちいいのです。子どもから「今日はあっちの道がいい」、「今はこっちのおもちゃがいい」と言われるまで同じことを繰り返してOKです。
- いつもと同じおもちゃ
- いつもと同じ散歩コース
- いつもと同じ靴を履く順番など
子どもが納得するまで「いつもと同じ」を守ることで、継続力や主体性、自信などが育まれます。
【2歳】2択から自分で選んで決断力を育む
絶賛イヤイヤ期の2歳児に手を焼いているパパさんも多いのではないでしょうか?「秩序の敏感期」にいる子どもは「自分の秩序(=ルール)と違うものは一切受け付けない❗️」という強い意志を持っています。
一見厄介なものに見えますが、実はこの強いこだわりが子どもの自主性を育む大チャンスなのです❗️2つの選択肢を用意して子どもに選ばせてみましょう。
- どっちの服を着る?
- どっちの道を歩く?
- どっちのおやつを食べる?など
子ども自身に決めてもらうことで、感情コントロール力、判断力、主体性、責任感、決断力などが育まれます。
【3歳】家事の中に役割を持たせて責任感を育む
3歳にもなると運動の敏感期が成熟して細かい作業が得意になってきました。簡単なことでいいので、家事の一部を子どもに任せてみましょう。
大切なのは「お手伝い」ではなく「家族内の役割分担」という考え方です。
単なるお手伝いでは責任感は生まれません。「その家事はあなたが責任を持ってやり切ってね。」というスタンスで辛抱強く教えてあげてください。
- タオルを畳むのはあなたの役割
- テーブルを拭くのはあなたの役割
- 炊飯器のスイッチを押すのはあなたの役割など
家族の一員として役割を果たしてもらうことで、継続力、協調性、計画力、主体性、自信、責任感などが育まれます。
【4歳】数字を使って論理的思考力を育む
4歳になると数の敏感期が始まり、数字という概念を理解し始めます。数字の順番や大きさに興味を持ったり、組み合わせを探したりするのが大好きな時期です。この時期に数字にたくさん触れることで将来数学嫌いになる可能性をグッと減らすことができます。
1〜10の数字が書かれたカードを用意して遊んでみましょう。
- 大きい順、小さい順に並び替える
- 組み合わせて「10」を作る
- 合計が「7」になる組み合わせをたくさん見つけるなど
工夫次第で遊び方が無限大な数字遊びは、集中力、論理的思考力、チャレンジ精神、想像力、自信などが育まれます。
【5歳】大人のマネをして社会性を育む
5歳ごろから文化や礼儀の敏感期が始まります。社会の中で人々がどのように関わり合って活きていくかを子どもが学んでいく大切な時期です。子どもは大人をマネることで成長し、「おままごと」や「職業ごっこ」を通じて「社会の一員になる」経験を積んでいきます。
この時期は特に対人コミュニケーションや責任感といった非認知能力を育むのに適しています。
- シェフ、美容師、ホテルマン
- 医者、看護師、獣医
- 教師、図書館司書
- 農家、飼育員
- 歌手、画家など
大人をマネて社交性、リーダーシップ、計画力、主体性、想像力、責任感といった社会で必要とされる力を身に付けていきます。
【6歳】芸術に触れて創造性を育む
6歳になると、これまでの敏感期で培ってきた非認知能力を活かし、より高度な活動に取り組めるようになります。この時期には音楽や絵画など、興味を持った芸術に触れる機会をたくさん作ってあげましょう。芸術に触れることで子どもの感性や創造性がさらに開花していきます。
- 絵を描く、絵画展に行く
- 写真を撮る、写真展に行く
- 楽器を演奏する、コンサートに行く
- ダンスをする、ミュージカルに行くなど
実体験を通して、集中力、感情コントロール力、想像力、創造力、独創性、自信などが育まれます。
親子で楽しみながら取り組むことが大切です。
まとめ:非認知能力を育てて人生を豊かにしよう!
非認知能力はAIがマネすることのできない人間本来の力です。
これからの時代を生きる子どもたちにとっては重要性がどんどん増してくるでしょう。
非認知能力を伸ばすには親子の信頼関係を築いたうえで、遊びや日常生活を通して学びを習慣化していくことが大切です。
ぜひ記事内で紹介した年齢別のおすすめアクティビティを実践していただき、お子さんの才能を開花させてあげてください❗️